家族信託による相続対策～失敗しないためのポイントとは～

■家族信託とは
家族信託とは、委託者（本人）の財産の管理・運用を受託者である家族に任せることをいいます。
これは、委託者が認知症等の症状を患ってしまった場合に、委託者の身辺における柔軟な財産管理のために有効であり、また、第三者によって認知症となってしまった委託者が金銭をだまし取られるといったことも防ぐことが可能となる制度です。
そして、相続の観点でいえば、被相続人が認知症等を患ってしまった場合にも、家族信託を行うことにより、被相続人の財産につき生前贈与（暦年贈与）を通した節税対策をしておくなどの生前対策をすることができます。

同様の財産管理・運用制度として成年後見制度が存在しますが、成年後見制度には「財産を自由に運用できない」「家族が後見人になれない場合が少なくない（半数以上）」といったデメリットが存在します。
これに対し、家族信託は財産をより柔軟に運用できるとともに、家族が財産を管理できることが前提となっているため、成年後見制度におけるデメリットを払しょくできる制度といえます。

■家族信託の注意点とは
家族信託の注意点としては、受託者に財産の管理権があるために、財産を使い込んでしまうなどして家族間で紛争が発生してしまうという点があげられます。
そのため、家族信託契約を締結する際には、受託者の財産使い込みを避けるため受託者を監督する「信託監督人」を設置することや、家族信託を高い信頼関係にある、限定された範囲の家族間においてのみ行うことといった対策がポイントとなります。

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